浮気女の嫁入り大作戦

 しばらく歩いて奈緒のアパートに着くと、時刻はもうすぐ23時という頃だった。

「さっさと寝ろよ。明日遅刻するぞ」

 沢田は部屋の鍵を開ける奈緒にそう告げ、立ち去ろうとした。

「上がってかないの? お茶くらい出すけど」

「あのなぁ。男を簡単に部屋に入れちゃマズイだろ」

「だって沢田くんじゃん」

 奈緒は自ら沢田の手を引き、部屋へと入った。

 ワンルームの女らしい奈緒の部屋に、沢田が入るのは初めてだ。

 茶くらい出すと言っておきながら、奈緒はまずベッドに横になってしまった。

「寝るのかよ!」

 というツッコミに、奈緒は駄々を捏ねるように言う。

「やっぱりまだ気持ち悪いんだもん」

「じゃあもう寝なよ」

「着替えさせて」

「はぁ?」

 沢田は酔っているときの奈緒をよく知っている。

 子供のようなわがままを言う奈緒を介抱するのを、彼は仕事のように思っているのだ。

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