幼き頃のそなたを愛する

「先生。
申し訳ございませんが少し席をはずさせて頂いても
よろしいですか?」




「どうぞどうぞ。



ですが…なるべく早くお戻りになって頂きたいのです。





私一人で姫君のお相手をするのは…」




桜の君に引っ張られた髭をつらそうにしながら、先生は私に耳打ちをした。




「…わかりました。


先生のためにも早く戻ってまいります。」



私は微笑みを浮かべながら
桜の君の笑い声が聞こえる部屋を後にした。
< 21 / 26 >

この作品をシェア

pagetop