揺れる
 私は不満に思いながらも、窓の外を歩いていくタカダさんを見つめた。



 すると突然、背の高い女性が、タカダさんの元に歩み寄ってきた。



 タカダさんは照れたように笑って、その女性も笑った。



 二人は寄り添うようにして、喫茶店の窓枠から消えていった。



 お付き合いしている人なのかな?



 私はそう呟くと、揺れた。



 風に揺さ振られる木々の葉のように、激しく揺さ振られて、どうしようもなくなってテーブルに伏せた。


 伏せると何故だか涙が溢れてきて、私は嗚咽を漏らさないように唇を噛み締めた。



 私は揺れる。



―おわり―
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