揺れる
忘れもの
 忘れることが多くなったように思うようになった。


 不意にそう思ってしまったら、自分は忘れてしまった何かはどこに行ってしまったのかと考えるようなった。



 どこに行ったのかな。



 きっとあるものは頭の片隅に引っ越してしまったのかもしれない。



 記憶が引っ越しをするなんて妙な話だが、新しい記憶の地上げにあったのかもしれない。



 もしかしたら違う記憶の裏側辺りに身を潜めて、私が優しく手を差し伸べるのを待っているのかもしれない。



 迷子になった子供のように、私が見つけるまで泣きじゃくっているのかもしれない。
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