元気あげます!巴里編
ひかるは隅田を気にしないで、いつもと同じように工房から学校へ向かいました。
そして、学校からの帰り道・・・。
隅田の気配がなくなった隙に、少し小走りでスーパーに立ち寄って、出たときもいないことを確認して家へと向かいました。
すると、途中から足音がついて来るようになり、ひかるはしまったと思いました。
((せっかくまいたと思ったのに、また・・・))
と思った途端、見知らぬ男に肩をつかまれ、路地へと引っ張られました。
「きゃっ!・・・うっ・・・ううっ」
口を布でふさがれて、声も出せず、意識も遠のきそうになったときでした。
ひかるを襲った男が叫び声を上げてその場に倒れるのが見えました。
そして、自分の名前を呼ぶ声で、はっとはっきり目をあけて気がついたひかるはびっくりしました。
パトカーが止まっており、警察官数人と隅田が何かしゃべっています。
「あの・・・私。」
「気がついてよかった。この近辺で3日前から若い女性がかなり襲われてたらしいんだ。
さっきまかれちゃったんで、もしかしたらここで・・・って気になって来てみてほんとによかったよ。
危ないところだったね。」
「助けてくれたんですか・・・。」
「まぁね、取材で追っかけてるのに、暴行事件を見て見ぬフリするってのはダメでしょ。
あ・・・助けたからお礼に取材に応じろとはいわないから、安心して。
そういうのは僕の主義じゃないから。」
「あの、ありがとうございました。
あ・・・手を見せてください。」
「手??」
ひかるは隅田の手の甲に傷薬を塗りました。
「これ塗っておくと治りが早いですから。
私よくフルーツ切ってて手を怪我するので、傷薬の絆創膏は持ち歩いてるんです。」
「ありがとう。
傷薬と絆創膏はいつも持ち歩いてるっと。」
「えっ、そんなことも記事に載せちゃうんですか?」
「載らないね。僕の記憶に残るだけかな。」