元気あげます!巴里編
結局、2年と半分で修行期間は終わり、ひかるは帰国することになりました。
千裕は仕事がごたごたしてフランスの家にもどってくることはありませんでしたが、ひかるにとって懐かしい屋敷で笑顔でひかるを迎えてくれたのでした。
「お疲れさん。卒業おめでとう。」
「ただいま。やっと帰って来れました。」
ひかるは千裕の屋敷にもどると、やはり性分なのか高田のいる厨房へと行く癖はなおっていませんでした。
裕樹夫妻や使用人たちは笑っていましたが、高田は感激の涙を流したあとで、ひかるに千裕が帰国したあとのことを伝えました。
「えぇぇぇぇ!!千裕様がクビッ???
なぜですか?
記憶喪失の間に損失でもやっちゃったんですか?」
「いえ、そのようなことはないんですが・・・。
千裕様は不在の間の処理はきちんとなさいましたし、未だに社員たちは千裕様にもどってほしいと言っているのですが、千裕様が疲れたと言って・・・」
「疲れた?・・・どこか体調が悪いんですか?
後遺症か何か出てきたとか、何か隠しているんですか?」
「そのようなことはありません。検査結果も良好です。
ご本人が金融系と福祉系を裕文様に譲ってしまわれたのです。
ですから、今は、学校の理事長のみでして・・・。」
「まぁ・・・。そんなにお疲れな何かあったのかしら・・・。」
ひかるは夜になってから、以前いつも通っていた千裕の書斎へと足を運びました。
「やっぱりここだった。」
「よぉ。ここで会うのは久しぶりだな。
その顔は高田からいろいろ聞かされたんだな。」
「みんなやめてしまったのなら、どうしてパリの家にもどってきてくれなかったんですか?」
「ごめんな。日本でやることが多くてな・・・。
ほら、前にひかるが店を出したい土地の話とかしてただろ。
それでさ・・・。
場所を調べたり、金額を交渉したり、職人そろえたりしてたらさ・・・。
もどれなくなってしまった。」