元気あげます!巴里編
「じゃ・・・千裕様は私の店のことを・・・。」


「余計なことしてしまったかな。
俺としては、たぶん初めての店を経営するとなると、ひかるは店と結婚したみたいになってしまうのが嫌でさ・・・。

それで・・・その・・・やっぱり・・・店の経営者じゃなくて、ひかるは俺の嫁さんをしてほしくて。

わがままなのはわかってるんだけど、そのわがままを通しまくってきたというわけなんだ。
収入は減るけど、食うには困らないはずだから・・・。
嫌かな?安月給のダンナは・・・。」



「ううん、うれしいっ!
結婚しても三崎グループを背負っていくって大変だなぁって思ってたから、私・・・。

それに、お店のことも千裕様に相談しながらすすめられるなんて、ほんとにうれしい。」



「それでさ、最初なんで申し訳ないんだけども・・・店の土地購入や建設関係でさ、オーナーってやっぱり実績がないといろいろ困ることがあってな。
とくに金銭面なんだけど、ひかるの名前だと不具合が多くてさ、1号店のオーナーは俺の名前になってる。

気を悪くしたかな。嫌だったら話を白紙にもどせばいいし・・・。」



「いえ、せっかく千裕様が用意してくれたところですもの、白紙になんてしません。
私は修行終えたばかりの新米ですし、雇われママでも十分です。」


「おいおい、まさか深夜営業する気じゃないだろうな?」



「できませんってば。私のようなヒヨッコにはお昼間だけでもいっぱいいっぱいです。
たぶん・・・。
それに、職人さんはしっかりお休み時間はとってほしいと思うから。

あ~そういえば、従業員募集しなきゃいけないのよねぇ。
私に面接だとか人をみるなんて自信ない・・・。

最初だから、従業員は職人1名、接客1名でいいわ。
私が両方やれば、何とかなる程度のこじんまりでも・・・」




「店がこじんまりでも、客が思いのほか来てしまったらどうするんだ?」



「そんなことないって・・・。」


「それじゃ困るって。経費かかってるんだから、儲かってくれなきゃ。」



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