元気あげます!巴里編
「そうね。既婚者の私が2人にまじっちゃってもいい?」
「もちろん。ひかるちゃん、社長と結婚したからって老けこむことないってば。」
「おい、誰が老けこんでるって?」
「あっ、すみませ~~~~ん。」
「はぁ・・・。店が明るくなるのはいいけれど、親父扱いかぁ。」
千裕が厨房に入ると、セルジュが早速、戸棚のすべてを開け、物のチェックをしていました。
「何か困ることあるか?」
「いや、さすがだ。そろえてほしかったものがすべてそろってる。
材料を仕入れたら、すぐに開店できるな。」
「よかった・・・。おまえが俺の話を断った場合を考えてなかったからな。」
「俺が断ると思っていたのか?」
「ひかると会うのをためらうかと思ってな・・・。」
「いいや、逆だな。俺はけっこうあきらめの悪いやつだからな。
それに、本当いうと工房の契約期間が終わって行くところがなかった。」
「おまえほどの腕のやつが就職難か?」
「そのくらい、せちがらい世の中だってことだ。
知り合いに大手企業の社長がいてよかった。」
「はい、どういたしまして。」
「あの、お話していいですか?」
「いいよ。まず、どうしてセルジュがここにいるかって聞きたいんだろ?」
「初めて経営する店で、信頼のおける社員ひとりくらいはほしいだろ?
俺はあまりうれしくはないんだけどな・・・。
あくまでもビジネスは成功させないと意味がない。
それは実業家の先輩としての意見・・・。あとは、こいつから話をきけばいい。
俺はうるさいお嬢さんたちに、説明してくる。」
「セルジュさん・・・。本当にいいんですか?
私の下で働くなんて・・・。」
「いいと思わなければ来ないさ。
それに、おまえは俺にない創作力がある。
たぶん、ひかるが考えて、俺がそれを完成させれば千裕に並ぶことができるのかもな。」