元気あげます!巴里編

その日は夜遅くまで、お店でわいわいと(セルジュだけはクールに)開店までの戦略会議と準備をすすめたのでした。




開店2日前・・・。


セルジュは千裕の屋敷内の台所でムースやケーキを作っていました。

横には助手をつとめる、ひかるではなく、ひかりがいました。


「どう?ひかりちゃん、できる?」


「見た目はなんとかなんですけど、自分では納得できないんです。」


「ほぉ」


「ひかりちゃんは接客係なんだから、無理しなくてもいいんだよ。
いうほど、お客様来ないかもしれないし・・・。」


「そんなことはありません!
このメンバーですし、セルジュさんの作るメニューで気に入らない人なんかいないと思います。
ひかるママとのお話を楽しみに来るお客様がみえたら、はるなちゃんと私とでなんとかしなくちゃいけないし、裏方もできるスタッフがいた方が流れとしてはいいというのは、ひかるママが言ってたことじゃないですか。」


「まぁ、そうなんだけどね。
でも、ひかりちゃんひとりががんばって解決する問題でもないよ。
お菓子に興味があるひかりちゃんだから、少しずつがんばっていこう。

なにせ、私の兄弟子が教えてくれるんだから・・・ね。」


「でも、朝からずっと怒られっぱなしです。」


ひかるは小声でひかりに言いました。

「私なんか、修行中毎日怒られてたわよ。
でも、セルジュさんはきびしいのは技術面だけだから。

あ、私これから千裕様にお弁当届けてくるから・・・。
今日は忘れて行っちゃったのよねぇ。」



ひかるが出かけると、セルジュがひかりに言いました。

「もう昼だな。腹減っただろ、もうすぐミートパイが焼き上がるから食べていけよ。」


「えっ・・・いつのまに?」


「ひかりが粉をひたすら混ぜてた間に、ちょっとな。
さっき、自分では納得できないって言っただろ?」


「はい。できあがりの見た目をマネしたようなことができたとしても、生地の弾力とか作る工程の部分で明らかに別物なのは、人様に出しちゃいけないと思って。」
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