元気あげます!巴里編

弟子たちはいつも厳しい顔をしているセルジュが笑顔でひかるに接している姿に驚いていました。


ひかるがムースを1つ弟子たちの前に持ってきて、みんなが味見をすると、弟子たちはみんなが笑顔になりました。


「笑顔のわけがわかったよなぁ・・・」


「ああ。うまいよ。ほんとに」



ひかるはヴァレリーに呼ばれてデザインについて質問されました。

「セルジュに君が用意したイラストをすべて見せてもらったよ。
マダム・コトミのイラストからムース用にうまく抜き描きを考えたもんだねぇ。」


「ああ、イラスト3枚を選んだのは私なんですけどね・・・抜き描きを最初に描いたのは」


「千裕ですね。」


「えっ、どうして・・・?」


「色鉛筆の動かし方が・・・彼らしいから。」


「千裕様の絵をご存じなんですか?」


「まぁ、私も描くことありましたからねぇ。そうだ・・・もし千裕に時間の余裕があってあなたの言うことをきいてくれるのなら、これを渡しておきましょう。
今、セルジュが作ったムースのレシピです。」



「え・・・でもそれはセルジュさんの・・・」


「べつに販売するわけではありません。これは私の個人的興味です。
千裕がもし、あなたのためにムースを作ってくれたならば、その味の感想または・・・そのムースを1つ。いや、かけらだけでもかまいませんので、私に届けてください。」



「千裕様がムースを?チーフ・・・いったいそれはどういう・・・」



「昔、同じ師匠について菓子を勉強した友人として知りたくなったんです。
ただそれだけなので、深い意味などありません。
あ、くれぐれも、現物を持ってきてくださるときは千裕には内緒でお願いしますね。」



「は、はい・・・。今、出張なので、もどってきたらきいてみます。」


「すまないね。でも、興味あるでしょう?あなたも。」


「え、ええ。」
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