元気あげます!巴里編
ひかるは屋敷の門の前で降ろしてもらいました。
セルジュが門のロックをはずして、ひかるがくぐろうとしたときです。
セルジュはひかるを抱きしめて頬に軽く口づけしました。
「イベントのお礼をしてなかったよな。
俺に連れて行ってほしいところをこれから考えておいてくれないか?
ひかるが楽しめるところ、どこでもいい。いっぱい考えて。」
そう言い終えるとセルジュは車に乗り込んで走って行きました。
門をしめて、足を引きずり歩くひかるの前方に驚いた顔をして立っている千裕の姿がありました。
「あ・・・・・」
ひかるは疲れと驚きでまた、こけてしまいました。
千裕がすぐに駆け寄ってひかるを抱いて連れて行こうとしましたが、ひかるは先に質問に答えてほしいと叫びました。
「伊波結衣さんに子どもができたって知っていますか?」
「いなみ?・・・・・誰?子どもって・・・誰の?
それより、どうしたの足・・・。
ひかるさっきの人って・・・」
千裕が質問しようとすると、ひかるは怒りました。
「まだ答えてもらってません!私のことより、どうなんですか、ほんとに子どもができるようなことはしてないんですか?
夜に電話があって、いくら千裕様に電話しても通じなくて・・・。」
「あ、早くここに戻ってきたくて電話の電池切れも気づかなかった。ごめん。
子どもって、俺の子ども? そんなバカな!
裕文の結婚相手にせまられて死ぬかと思ったことはあったけど、そういう関係は誰とも一切ない。絶対ない!
ひかるにもないんだから、あるわけない!
その伊波さんって人についてだけど、ぜんぜん知らない人。
ウソだと思うなら携帯の電話帳見てくれてもいい。」
「ほんとに知らないの?」
「今、初めて聞く名前。本当だって。
えぇ!信じてないみたいな顔してる・・・。」
「じゃあ、作ってほしいお菓子があるの。
私に作って。味見すれば、やましいとこがあればすぐわかるはず。」
「おいおい・・・いきなりどういう展開なんだ・・・。
まぁ、険悪なのがずっと続くよりかは、お菓子1つで潔白が証明されるならお安い御用なのかもしれないけど・・・。」