元気あげます!巴里編
「あの、わりとふんわりとした栗色の髪で、メガネはかけてなくて、声は少しあなたに似ていて、一人称は僕っていってます。
服装はわりと赤い色をポイントに使っておられるような感じで・・・。」
そこまで話をきいたところで、千裕は中山に伝えました。
「ゆいさんの千裕様の正体がわかりました。
俺の一番下の弟の三崎淳裕です。
こみいったことは、当人同士の問題になってくると思うけど、とりあえず、ゆいさんに伝えてください。
淳裕に逃げるようなマネだけは絶対させませんから、三崎から案内があったら怖がらないでお越しくださいと。」
中山はゆいに千裕からの言葉を伝えると、今度はゆいが謝罪の言葉を千裕に言いました。
「すみませんでした・・・。私、急なことで心細くて・・・まだ親にも言ってないんです。
あ、この電話は婚約者さんの電話でしたね。」
千裕はひかるに電話を渡すと、ゆいがひかるにたくさん謝っていました。
「お兄さんの婚約者だなんて、知らなかったとはいえ、本当にすみませんでした。
彼の携帯を見たら、女の人の名前があってメモに婚約者って書いてあったものですから。
ごめんなさい。」
「お互い誤解でバタバタしちゃいましたね。あの、もし、困ったことがあったら遠慮しないでここにかけてきてくださいね。
これも、ご縁なのかもしれないし・・・ね。」
「ありがとうございます。またご相談させていただくこともあるかもしれませんがよろしくお願いします。」
伊波結衣と偽千裕の正体もわかったことで、ひかるは全身の力が抜けてベッドに倒れ込んでしまいました。
「不思議・・・。千裕様が帰って来た途端にいろんなことが、ざざ~~~~って駆け抜けていっちゃった。
はぅぅぅぅぅ・・・」
ひかるはそのまま眠ってしまいました。
「ひかる?うっ・・・おいおい・・・楽しみに帰ってみれば、速効で寝るとは・・・。
しゃあないか。かわいい寝顔が見れるだけ、ここはいい。」