元気あげます!巴里編
ひかるは帰り道に少し気が重くなりました。
裕文や淳裕が事の発端だとしても、とくに女性問題で千裕には言いすぎてしまったところが多かったし、疲れているのがわかっているのに、私のお願いだからきいてとは言いにくかったのです。


公園のベンチでため息をついて、たちあがって歩きだそうとすると、


「ここんとこ、そういう顔して帰ってきてたんだ・・・。」


振り返ると千裕が立っていました。


「どうして・・・?」


「セルジュって・・・この前のキスの君だっけ? 彼から電話があった。」


「俺がひかるの側にいないだけでも、ひかるには俺のせいで負担が大きくのしかかるのをわかっているのかだってさ。
弱ったね・・・。真面目にひかるのこと好きだみたいに言われて反論できないとは。」



「えっ、セルジュさんがそんなこと言ったんですか?
ごめんなさい・・・調べもしないで勝手に誤解して、怒ったり悲しんだりしてたのは私なのに・・・千裕様は知らないところで利用されてただけなのに。
私こそ、千裕様の力になれないといけないのに・・・。
その上に勝手なお願いばかり・・・」



「お願いごとはぜんぜん嫌じゃないし、誤解はとければOK。
パーティーの裏参加は了解だ。」


「でも・・・いいんですか?表の方をキャンセルして裏でなんて・・・。」


「いいんじゃないかな。俺に本気で用事があるのなら、欠席よりは裏でがんばってますっていう方がいいだろうしな。
でも、もともと正規の参加は欠席するつもりだったからなぁ。

それよりさ、ここらでポイントあげとかないとひかるをさらわれてしまうかもしれないからがんばらないとな。」



「そんなぁ。セルジュさんは私が落ち込んでると他のみんなに影響が出るからってお話をきいてもらっただけです。
ふだんは怒鳴られてる方が多いし。」



「ふふふ、ムキになって。そんなに焦って大人にならなくてもいいのになぁ。
日本と違ってひかるは中学生くらいにしか見られないかと思ったけど、甘かったな。」

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