元気あげます!巴里編
深夜の訪問なんて・・・と千裕がインターホンに出ると、やってきたのは淳裕でした。


「何事だぁ?ひかるの電話におまえの彼女や彼女の親友って人から電話があって、こっちは偉い迷惑してたんだぞ。
外見きいたら、おまえだってわかったけど、何をやってたんだ?」



「すまない。もっと早く連絡しようと思ってたんだけど、いろいろ話がこじれちゃってさ・・・親父には勘当されそうになるし、まいったよ。」


「結衣さんと何かあったの?電話で話した感じでは悪い人には思えなかったけど・・・。」



「じつは・・・伊波結衣の兄が裕文の会社を危機に追いやった張本人なんだ。」


「あ・・・伊波。偶然かと思っていたけど、使い込んだヤツが身内だったのか。」


「家族が何かやらかしたとしても、結衣さんは妊娠してるのよ。
そっちの責任はどうする気なの?」


「それは・・・ほんというと困ってるんだ。
彼女は産みたいと言ってるんだけど・・・。」



「淳裕様は学生じゃないんだし、結婚して赤ちゃんのお父さんになってあげればいいじゃないですか。」


淳裕は黙ってしまいました。
しばらくして、千裕が淳裕の顔を見ながら、声をあげました。


「まさか、おまえ・・・結衣さんの子どもっておまえの子じゃないとかいうんじゃ。
おまえは見かけはチャラチャラしてるけど、いい加減な付き合い方はしないんじゃないかと思ってた。・・・・・どうなんだ?」



「あはは・・・さすがだね。子どもは僕の子どもじゃないよ。
それが確かだから、困ってるというか・・・。
知らないヤツの子どもを育てろってことになったら、僕は普通に暮らせるかどうか・・・。
結衣は好きだけど・・・子どもの父親については何も言ってくれないんだ。
もしさ、レイプされてできた子どもだったりしたら、産みたいと思わないと思うし、僕の他に付き合ってたヤツがいるんじゃないかと思うんだ。

そいつがわからない限り、僕は結婚とか認知とかふみ切れない。」



「なんとなく読めてきた。おまえ、俺の名前を語ったのは、その相手を調べるためだろ!
でも、待てよ・・・親父に勘当されそうになったといったな。
親父は相手を知っているということじゃないのか?」

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