元気あげます!巴里編
「あ、そういうことか・・・。でもどうして父さんは僕に相手の名前を教えてくれないんだろう?」
「結衣さんから淳裕さんに何か言ってきた?」
「中山さんって人からは電話があったけど、部外者に何も言いたくないしね。」
「どういうことなんだろう・・・淳裕だけで解決できないような裏があるのかもしれないな。
そうだ、俺が父さんにきいてみる。それから結衣さんについてまた考えることにしようか。」
その後、千裕が父に電話で問い合わせてみると、驚くべき事実がわかったのでした。
「裕文の会社の金を着服した兄の子どもではないかというのが有力情報。・・・。結衣のじつの兄貴じゃなかったのか。
裕文を会社から追い出し、淳裕か俺に子どもを認知させるか、結婚をせまることによって三崎の財産狙い・・・。
俺たち兄弟をそれぞれ狙ってきたというわけだな。
法律上の処理は親父に、任せておけばいいとして、どう対処するかな。
え・・・何かがひっかかる。相手の狙いが金だとすると・・・いかん、ひかるが危ない!」
ひかるはいつものように、工房で仕事を終えて、経営学の専門学校によってから、自宅を目指して歩いていました。
ちょうどそこを買い物帰りのセルジュが通りかかって、セルジュはひかるに工房で言いそびれていた、セレブパーティーのお礼のことを話そうとひかるに近付いていきました。
すると、あとひかるまで5mくらいのところで、ひかるは見知らぬ男にタオルで口をふさがれ、車で誘拐されてしまったのでした。
「ひかる!・・・」
セルジュは咄嗟に車のナンバーを覚え、手に書き写すと、千裕に電話をした。
「えっ、ひかるがさらわれた?・・・しまった、遅かったか。」
「千裕は心当たりがあるのか?」
千裕はセルジュに事情をかいつまんで説明しました。
セルジュは控えた車のナンバーの手配するように伝えて、車の進行方向を捜すことにしました。