元気あげます!巴里編
「あ~ら・・・三崎千裕は兄弟の中でもいちばん頭が切れると評判なわりには、あなたみたいなそこいらにいる学生のコなんて婚約者にするなんて、やっぱりどこかバカなのよ。」
「千裕様はバカじゃないわ。すぐにあなたたちが捕まるようにもう手を打ってくれてるはずよ。」
「そうなのぉ。じゃあ、その千裕様がお迎えにきたときのために・・・」
「な、なにすんのよ。やめてよ。や、やだ。やめて!」
美奈子はひかるの服をはさみで切りおとしていきました。
「あ~んまり刺激的すぎても、こっちも困るとこあるし、セクシー水着程度にカットしておいてあげるわ。ふふふ。
逃げようなんて思わないことね。」
しばらくして、ひとりの男が美奈子といっしょに部屋に入ってきて、ひかるに近付きました。
「さっきな、おまえの愛しい千裕ぼっちゃんに身代金を要求してやった。
おまえを手に入れたことをいったら、かなりびびってた。はははは。
ま、金がはいっても完全に逃げるメドがたつまでは、おじょうちゃんにつきあってもらうからな。
おじょうちゃんは失礼だな。もう十分そそられる体してる女だ。」
男がひかるの膝から太腿にかけてさわってきたので、ひかるは大声で叫びました。
「いやぁーーー!さわらないでっ。」
美奈子がすかさず、ひかるの口に布でさるぐつわをしました。
「うぐっ、うっ・・・。」
そして、また美奈子が電話で誰かとしゃべったかと思うと、慌てて男と代わりました。
「な、なにぃ!」
男が電話の内容に気を取られたそのときでした。
ひかるが囚われた横の窓がガシャーーーーンと割れて、セルジュが飛び込んできました。
先に気づいた美奈子の脇腹を蹴飛ばして、持っていたナイフでひかるの手足のロープを切るとひかるを抱えて窓から脱出しようとしました。
電話をしていた男がピストルを発砲しましたが、セルジュは何とかひかるを連れて自分の車に乗せ、自分の住まいまで逃げるのでした。