元気あげます!巴里編
「そうだなぁ・・・俺の会社を乗っ取りにきたら、本気で戦う覚悟するかな。
でも、ひかるは彼女じゃなくて家族だからなぁ。」
「乗っ取ってみたぁ~~~い!」
「ふふふ・・・のぞむところだ。
でも、会社を守るのに戦うより前に、ひかると夜を戦いぬく方がまず大変かなぁ・・・な~んて。あはははは・・・。
あれ?」
ひかるはごちそうさまに手を合わせたまま、スゥスゥと寝息をたてていました。
「夢の中まで聞こえてないだろうなぁ。
さて・・・と。」
千裕はひかるをベッドまで運んで布団をかけてやると、リビングをはさんで別の部屋へと移動しました。
「ばあさんとの約束だからなぁ。ここに滞在してもいいかわりに、寝る部屋を別にすること。
留学終了までにひかるが妊娠するようなことがあれば、すぐに帰国して結婚か・・・。
俺にとってはその方がうれしいはずなんだけど・・・なんか・・・ね。
がんばってる間は応援したくなるんだよな。
ヴァレリーさんの弟子をやってるだけでも大したもんだと思うよ。」
翌朝、千裕が起きるとテーブルに朝食の用意がしてあり、ひかるのメッセージが書いたメモが置いてありました。
『おはようございます。昨日は寝てしまった上にベッドまで運ばせてしまってごめんなさい。
おかげさまで元気に今日も出かけられます。
じつは、昨日お話するのを忘れちゃったんですけど、工房で次の日曜日にお菓子とパンが食べられるバザーをやるんです。
地元の保育園の子どもたちを中心に近所の人たちもたくさん来るんだそうです。
もちろん、私たち弟子の家族も参加ということなんですけど、千裕様は予定入っていますか?
ちなみに琴美さんは忙しくて来られないんですって。その代わりにかわいい人形を50体出してくれるとのことでした。 ひかる』