元気あげます!巴里編
「ふむ。日曜なら都合はたぶんつくと思うけど・・・工房か・・・。」
日曜日までひかるは千裕とすれ違いな生活を過ごしていました。
千裕はメールで、『目立つのは苦手だから、変装していくと思う。乞うご期待!』
とだけひかるに連絡をいれました。
「変装?日本人って目立つのが嫌なのかな?
楽しそうだから、まぁいっか。うふふ。」
当日になり、早朝から工房ルミエールのまわりは甘くていい香りが漂っていました。
10時前には招待していた保育園の子どもたちがやってきて、お昼前には一般客も多くつめかけていました。
ひかるは琴美に頼まれた人形やタオル、ハンカチ、敷物などを展示して売りました。
そろそろ品薄になるかなと思われたときに、後ろで声をかける人物がいました。
ふんわりした金髪が肩にかかるくらいのイケメン青年でした。
瞳は深い緑色をして、ひかるをじっと見つめて何かしゃべっています。
「えっ・・・どうしよ。すごくきれいな人。フランス語ってまだ私・・・!?
あれ・・・これって日本語?」
「だからいい加減に気づけってば!誰と勘違いしてるんだ。」
「へ?え・・・えぇ・・・””””””えーーーーっ!」」
「しーーっ!静かに。バザー用の品物持ってきてやったぞ。
子どもが使いやすい銀食器と、ランチボックスに水筒。あとは鉛筆とか学用品。
500ずつくらいある。」
「千裕様、そんなにたくさん?・・・ありがとう。
それにしても、その格好どうしちゃったんですか?」
「パリだったらこっちの方がいいかと思ってさ。あはは・・・
スーツを着た日本のおっさんが来るよりかは、この方がなじんでるだろ?
ちょっぴり若づくりかも・・・。」
「なるほどぉ・・・その緑のコンタクトは見えるんですね。
とてもいい感じです。」
ひかるは眼を輝かせて、変装した千裕の顔を見つめていました。