元気あげます!巴里編
「わ、私は・・・」
ひかるが咄嗟にどう説明していいか口ごもると、琴美はさらっとひかるの代わりに答えました。
「ええ、そうよ。でも、臆病で大切な子だから、いじめないでちょうだいね。」
「そうなんですか。では、せめてお顔をおぼえるということでお名前だけお聞かせいただければ、無理なお誘いなど一切しないとお約束しますよ。」
「あら、そう?この子はひかるっていうのよ。
三崎ひかる。よろしくね。おほほほ・・・」
「こ、ことみさん!!あの・・・」
「どうせそうなるんだから、いいじゃないの。楽しくやりましょう。うふふ」
ひかるは琴美にしっかり三崎の孫娘にされてしまいました。
「ひかるさん、ユウヤです、よろしく。」
「ひかるです。よろしくお願いします。・・・あのユウヤさんって日系の方なんですか?」
「あ、ハーフです。母が日本の沖縄出身で、父がアメリカ人なので。」
「なるほどぉ・・・見た目が沖縄の方かしらと思ったので・・・つい。」
「顔が濃いですかね。」
「えっ・・・いえ、そ、そんなことは・・・そういう意味じゃなくて・・・え~と・・・」
「ふふふ、いいんですよ。気にしていませんから。
じゃ、またね。」
「はい。」
その後、お昼少し前から料理が用意され、続いて、お菓子もふるまわれました。
「さ、そろそろ着替えて、こっそり偵察にいっちゃおうっと。」
ひかるはドレスのスカートを抱えると、ホテル内の控室へと小走りに向かいました。
控室でいつものパティシエ姿に着替えると、千裕のいる厨房へと急ぎました。
「あ、思ったよりも時間くっちゃったかなぁ。
千裕様がかっこよく指示なんかしちゃったりするとこ見たいなぁ。」
顔がにやついてしまうのを押さえながら、エレベーターの横を通り過ぎようとしたときです。