元気あげます!巴里編
ガタン。
ドスッ・・・・
「あっ・・・何?・・・きゃぁ!!!」
エレベーターのドアがちょうど開いたところで、出てきた人にぶつかられてしまいました。
「おっと・・・大丈夫?」
ひかるが床に倒れそうになるのを、受け止めたのはユウヤでした。
「あれ・・・君はひかるさん。あはは、どうしたの?衣装替え?」
「あっ、す、すみません。私、パティシエの見習いなんです。
厨房へ行かないと・・・。」
「へぇ・・・。孫娘さんがパティシエねぇ。
じゃあ、私も味見させていただこうかな。
うちは、ここもだけど、ホテルチェーンが主体だから。」
「え、このホテルの? そ、そうだったんですか。
でも、私は見習いなので、お手伝い程度ですよ。
作っているのはチーフと先輩方なので・・・。」
「でも、いずれはそこのパティシエでしょう?」
「ま、まぁね・・・。あっ、す、すみません。なんか友達みたいな口きいちゃいました。」
「ふふふ。かまいませんよ。ほら、私はこのとおり浅黒くて大きいでしょう。
女性は怖がって逃げて行く人が多いんです。
ひかるさんは小さいのに、勇気がありますね。」
「えっ・・・だって、最初から丁寧にご挨拶してもらってましたし。
あ、すみません。ケーキでもお持ちしますから。待っていてください。」
ひかるが厨房に入ると、もう半分お片づけ状態になっていました。
「おい、ミーティングも出てないやつが、勝手にうろつくな!」
「は、はぃ、すみません。あの・・・もう、お菓子はすべて売り切れちゃったのでしょうか?・・・・・!はっ。ち、千裕様?」
「ヴァレリーは今、このパーティーのプロデューサーのところに行ってるから、俺が今ここのチーフだ。
それで、菓子をどうするんだ?」
ひかるはこのホテルの未来のオーナーが味見させてほしいと言ってきたことを伝えました。