元気あげます!巴里編
千裕は仕方ないな・・・と言わんばかりに、あらかじめひかる用にとっておいた数種のケーキとムースを冷蔵庫から出しました。
「こんなにたくさん?」
「1つくらい分けてもいいだろ。あとは全部ひかるのだ。」
「えっ、私が全部? いいんですかぁ。やったぁ~!うれしぃ。うふふふ」
「おまえ本当に、期待を裏切らないリアクションするよなぁ。」
いつのまにか、セルジュもひかるの前にやってきて、驚いた表情をしていました。
「ひとりでそんなに食うのか? ぷっ。」
「もう!ふたりともひどいですっ。もしかして、私のリアクションで何か賭けたりしてないでしょうね。」
2人はないない~~~と手をふって笑っていました。
少し膨れ加減の顔をしながら、ひかるはいちばん上品に見える、ケーキを選んでユウヤに食べさせました。
千裕とセルジュはホテルオーナーの息子の様子を厨房の端から見ていました。
「うぁ・・・でけぇ。ひかるがちっちゃいから、余計にでかく見えるな。」
「ケーキは一口じゃないか?」
ユウヤとひかるは休憩用の席に座ってケーキを食べていましたが、ユウヤが1口ではなく、少しずつ味わってケーキを食べ終わると、
「うん、ひかるの言ったとおり、おいしいね。
今までこんな繊細な味のケーキは食べたことないな・・・。
すすめてくれてありがとう。」
「え、お礼なんていいの。いいの。おいしく食べてくれたらうれしいんだもん。」
「そう・・・ん・・・」
ユウヤはひかるの唇にキスして言いました。
「こっちもおいしい。・・・朝は誘わないっていったけど、誘われるのが嫌なら、話をきいてほしい。
私と結婚を前提におつきあい願えませんか?」
「え、ええっ!?!!!!!そんな。困ります。こんなことされても・・・困ってるのに・・・。」
様子を見ていた、千裕とセルジュがあわてて、ユウヤの前に走ってきました。