元気あげます！巴里編

「けどなぁ・・・男と女だから、行動起こされたら、泣かされるのはひかるだろ？
俺はひかるに幸せになってほしい。
だから、ひかるを泣かせるわけにはいかない。
俺はあいつからひかるを守る行動をするからな。」


セルジュがひかるにいいました。


「セルジュさん・・・すみません。厄介事増えてしまって・・・。
工房の人たちにはご迷惑かけないようにしますから。」


「厄介事ならとっくにいろいろ首をつっこんじまったからな。
俺はとくに財産のない家のせがれだからな、取られるものも守るものもないから気楽だよ。」


「私もそういう人なんですけどねぇ・・・。」


「だ～め・・・。」


「えっ？」


「マダム・コトミについてきた君を見てしまったら、町を走っていく普通の女の子だとは思わないよ。
ここだけの話だけど、ドレス姿のひかるを見て千裕は持っていたボールを落とすわ、粉はまきちらすわで、ものすごく動揺してたな。」


「セルジュさんは・・・？」


「俺は・・・今のひかるの方がいい。
別世界のひかるは俺には最初から手が届くわけない存在だからな。
でも、すごくきれいだった。」


「あ、ありがとうございます。」


「おぃ、早く片付けろよ。ヴァレリーがもどってきたから、そろそろ俺は帰るぞ。」


千裕が不機嫌そうに、ひかるに声をかけました。


「は、はい。じゃあ、セルジュさん、チーフによろしく。また明日ね。」


帰宅するまでの間、千裕はひかるにとくに何もいわずにもどってきました。
そして、部屋にもどってもそのままシャワールームに行ってしまい、ひかるは自分の発言はやっぱり軽率だったかと少し後悔しました。


((でも、ああでも言わなかったら・・・琴美さんの話じゃ会社の規模が三崎とは比べ物にならないくらいすごいらしいし、あのときチーフの代わりをしていた千裕様が問題なんて起こしていたら、それこそあちらの思うツボだった・・・。))


「セルジュさんがいうみたいに、取られるものがない私は気楽に恋愛を楽しんで、なんだ、この程度って思われればいいだけだもの。」