元気あげます!巴里編

「きっとそうは思わないと思う・・・。」



いつのまにか千裕がバスローブ姿でひかるの後ろに立っていました。


「きゃあーーーー!!ちょ、ちょっとなんてカッコで・・・」


「おまえは自分がそこいらの娘とは違うって、ぜんぜんわかってないだろ。」


「えっ、だって私・・・普通の学生だったし、今も修行中なわけで・・・。」



「俺は入学のときから側でおまえを見てきたんだ。
入ってきたときは、そこいらの女の子と違いはなかったかもしれない。

だがな、高田や俺がいろんなことをおまえにたたき込んで、おまえはかなり変わったはずだ。」


「あ、そういえば・・・そうですねぇ。
作法的なことはすごく注意され続けて、たぶん、立ち振る舞いや言葉遣いはいいのかも。
三崎の家にかかわらないままだったとしたら、ユウヤさんの後をホイホイついていったのかもしれないし、嫌だと思ったらすぐに相手の立場や気持ちも考えずに、走って逃げたかも。」



「ひかるは俺がぞっとするくらいに魅力的な女性になったんだよ。
わかったか・・・。」


「そ、それで千裕様もそのかっこでどんどん私に近付いてきてるんですか・・・。」



「へ?ちっ、ちがう・・・こ、これはなぁ・・・おまえも早く風呂すませろって言いに来ただけで・・・。」



「早くお風呂済ませないといけない用事があるんですか?」



「だ~か~ら、べつに深い意味なんてない!疲れたから早く寝るっ!」




「・・・・・ぷっ。ああいうとこが千裕様から離れられないとこかも。
私はもしかして、小悪魔的女性に成長したかしら。うふふふ。」





千裕はベッドに横になったものの寝付けずにいました。

「ひかるはキサラギの言うことを絶対はねのけられないだろう。
かといって、恋愛ごっこに会社の命運をかけるなんて出来ないのが現実だ。

もし、3か月後までによくない結果が出そうになったら・・・そうなったら・・・ばあさんとの約束を破るしかない。

あ~でも、あのときだって自分を押さえられないまま、生徒だったひかるをおいしくいただいてしまって結局、俺は罪の意識から逃れられてないのかもな。
たった一言が言えないまま・・・。」




< 48 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop