元気あげます!巴里編
「わかってくれればいいわよ。で、ひかるはこんな時間にどうしてホテルに?
もしかして・・・千裕様と・・・なの?むふふ」


「ちがうの・・・。わけがあって約3カ月間ここで暮らすことになっちゃって。
あ、千裕様と喧嘩したとかじゃないの。
3か月間はここから工房に通うから・・・。」


「そうなの。なんか込み入った事情がありそうね。
あ、ごめん、彼氏がきたからまたね。」


「はぁ、彼氏ねえ。年配の彼氏かな・・・親子みたい。」


カールがホテルを出て行くのを見送って、部屋にもどろうとすると、ユウヤが4人の女性に囲まれるようにして入口から入ってきました。

ひかるは自分がいるのはよくないと思い、ユウヤに見つからないように部屋にもどりました。

30分ほどしてTシャツにスウェット姿のユウヤがひかるの部屋を訪ねてきました。



「お疲れ様。おかえりなさい。」


「ただいま。・・・あ・・・。」


「どうしたんですか?」


「あの・・・女性にそんなふうに迎えてもらうことに慣れてないというか・・・。
びっくりしてしまって。」


「えっ。((さっきひきつれてのは女じゃないっていうのかしら。))
ユウヤさんなら、おかえりなさいを言ってくれる女性は会社にも多いんじゃないですか?
出張から会社にもどったら、社員はねぎらいの言葉くらいかけてくれないんですか。」



「ホテルの接客中のスタッフはそちらを優先するしね、事務所のスタッフのところへ直行ってことはほとんどないんだ。
自分の部屋にひとりでもどってから、こちらから用事のある部署に連絡をいれて会議とかやるくらいかな。」


「大きなホテルチェーンなのに、さびしいですね。」


「幹部クラスは案外、どこでも孤独なんじゃないの?
千裕はねぎらってもらってた?」


「ねぎらってというか・・・いじめられてたというか・・・。千裕様は神出鬼没な方ですから。あははは・・・。
会社にいてつらいと思うときは、学校へ行くんです。」


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