元気あげます!巴里編
「学校?あ、学校経営してたんだっけ?」
「ええ。でもオーナーというよりはさえない化学教師で、よれよれの白衣で廊下を歩いてて、女子生徒にはひやかされて、男子生徒にはケリをいれられて・・・みたいな。
うふふふ・・・。」
「学校の先生か・・・面白そうだね。
そういえば、パティシエもやってたね。
頭がよくて、いろんなことをやってのけられるんだから、彼はよくモテるだろう?」
「そうでしょうね。
自分でも、きちんとしてたらモテて困ってしまうって言いますよ。」
「フィアンセになったら女性が彼のまわりにまとわりついていても、気にならないのかい?
ひかるは余裕だね。
腹立たしくなったりしないの?」
「そりゃ、気になりますよぉ。
だけど・・・なんていうか、千裕様の瞳を見てると私にはウソつかないから。」
「それは自信?それとも、色仕掛けの魔術にでもかかっているのかな。」
「わかりません。ただ、言えるのは千裕様が私を学校へ通わせてくれるようになって、私の先生で主で・・・ずっと見てきたから、わかるっていうか、許せるっていうか。」
「圧倒的な存在なんだね。話だけきいていると、ひかるがかわいそうになるけど。」
「えっ、どうして?」
「千裕の好みの女性に仕上げられてるだけのような気がする・・・皮肉なことに、それが私の目をひいたことも認めるけど・・・。」
「そうかもしれないね。私もそんな気がしたから、3か月お付き合いしてなんて言っちゃったのかも。
みんながあたりまえのようにしてる、普通の恋愛もしたいと思ってしまったのかもしれないです。
欲張りですね。あはっ」
「欲張り、いいんじゃない。そのくらいの方が私も遠慮なく楽しめそうだ。
あ、今日は遅かったというのに・・・長く話し込んでしまいました。
それと明後日って休日ですよね。」
「ええ。」
「ドライブに行きませんか?いや・・・目的地は田舎の方ですけどね。
私の息抜きにつきあうのはやっぱり嫌ですか?」
「いいえ。大きな建物ばかりのところより、田舎・・・いいですね。」
「じゃ、明日また予定をたてましょう。おやすみなさい。」