元気あげます!巴里編

外の空気を吸って風に当たりました。

((なんかすぐに部屋にもどりたくないなぁ・・・))

そう思いながらホテルのロビーに目をやると、そこにはカールがうれしそうに金髪の男に話しかけているのが見えました。


「もう、カールったらまた・・・。あれ???」


話しかけられている金髪の男に見覚えがあるひかるは、カールの方へ近づこうとしました。
しかし、いつもカールと歩いている年配の男がその金髪の男につかみかかりそうな勢いで文句を言っているのがわかったので、足が止まってしまいました。






「おまえはいつからカールにまとわりついているんだ!」

「まとわりつく?」


「あ、違うのよ。この人は工房に仕事でちょっと来たことがあるだけの人なの。」

「カール、おまえがこの男を見る目はとてもうれしそうじゃないか。」


「ほんとに信じて。この人とは個人的におしゃべりするのも初めてなんだから。」


「あのぅ・・・恋愛のもつれにならないうちに、用事を済まさせてもらいますけど、僕の用事のある人ってあなたの方なんですよね。キサラギさん。」


「なんだと。おまえは何者だ?」


「僕はこういうものです。今は事情があってウィッグとコンタクトでこういう身なりをしていますが、お話を聞いて下さるなら正体を明かします。」



「ほぅ・・・ミサキか。」


「えっ、ひかるちゃんの?・・・そうだったんだぁ。
じゃ、お話が終わるまで待ってる。」



2人がエレベーターでその場からいなくなった後に、ひかるはカールに声をかけました。

「カール、今の人って・・・」


「ひかるちゃん、ヒイロさんってひかるちゃんのフィアンセの人だったのね。」


「えっ、今のやっぱり千裕様なの?」


「うん。ロアムと話があるからって。」


「ロアムさんって?」


「あれ、知らないの。このホテルに住まわせてもらってるのに?
ロアム・キサラギ。」


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