元気あげます!巴里編
ひかるは帰り道を歩きながら、セルジュの言った保護者気分という言葉がひっかかっていました。
((保護されてるんだよね・・・。住むところも勉強するところも将来の夢も。))
その後、『わがままは許さないから』という千裕の言葉が思いだされて、だんだん腹立たしくなってきました。
もし、ずっと日本にいたとしたら・・・?
父と兄が見つかったのだから、三崎の家を出て自立する道もあったかも?
でも、三崎の家を完全に離れてしまったら、もう接点などなくなってしまうのだろう。
千裕様がとても遠い人になるのが恐い?
「なんか考えが支離滅裂だ・・・。」
帰宅すると、千裕が夕飯の支度を整えて待っていました。
「お疲れ。今日は早く終わったから、デザート付きで用意しておいたぞ。」
「わぁ、おいしそう。・・・・・はぅ。」
「どうした?お腹こわしたのか?」
「ううん。そうじゃないけど・・・あ、いただきます。」
「休みの届けは出してきたか?」
「うん。私がいないと静かでさびしいって言われちゃった。」
「ま、そうだろうな。
ひかるはながめてるだけでも、楽しめるから。」
「もう、いったい私は何なんですか?
観賞用ペットの代わりですか・・・。」
「どうした?冗談のつもりだったんだが、何か悩んでいるのか?」
「い、いえ。べつに悩んでなんてないです。」
「あ、そうだ。日本に帰ったら別荘に連れていってやるよ。
近くに温泉もあるし、お祭りもやってると思う。」
「いいんですか・・・私なんか連れて歩いても。」
「指輪はなんのためにあるんでしたっけ?
こっちではときどき、テーブルに置き忘れてるみたいだけどさぁ・・・。」
「あ・・・ごめんなさい。」