元気あげます!巴里編
ひかるは出されたものだけを食べ終わると、部屋に入ってドアをしめてしまいました。
((どうしたんだ?何かあったのかな・・・。プリンを多めに用意してたのに、目もくれないなんて・・・。))
千裕の心に少し不安がよぎったものの、その後夏休みになって、2人は日本へ帰国しました。
千裕の屋敷にもどってくると、高田と皆川がすぐに駆け寄って迎えました。
そして、玄関に幸恵がいました。
「幸恵さん、この間はありがとうございました。」
「ひかるさんが三崎と離れてしまわなくてよかったわ。」
「あ・・・そうですね、危うくキサラギ家の人になっちゃうところでした。あはは」
ひかるは自分の部屋に荷物をとりあえず投げ込むと、メイド服に着替えて高田のところへ行きました。
「ひかる様、どうしてそのようなお姿で?
あなたは正式に千裕様と婚約したんですから、お部屋でくつろいでいてくださったらいいんですよ。」
「嫌です。私はまだ覚えてないこともいっぱいあるし、知りたい料理もいろいろあって・・・お願いです。いつもどおりにやらせてください。」
「しかしぃ・・・」
「高田、ひかるの好きにさせてやってくれ。
おまえたちとごちそう作ったり、片付けるのを楽しみにしてたんだ。」
「そうでしたか・・・。高田は娘がもどってきたみたいにうれしゅうございますよ。」
「私も。それと、ひかる様はやめて。
今までみたいにひかるでいいよ。」
「そうはいきません。千裕様の奥様となられる方なのですから・・・」
「やだ。・・・じゃあ、メイド服きていっしょに仕事するときは「ひかる」って呼んで。
お客様の前とか、千裕様といっしょのときだけ様付きってことで・・・。」
「はぁ・・・。」
「それにまだ結婚したわけじゃないし・・・ね。」
「えっ・・・」
「あ、かた苦しいのは嫌だから・・・。」