元気あげます!巴里編

「ここの管理人は両親がやってたんだけど、去年父が大腸がんで入院してね、母が看病してたの。
だから、私がここの管理人することになっちゃってね。」


「そっか、でも、岡村は結婚して離れたとこへ行ったときいていたけど。」


「はっきり聞かないでくださいよ。
介護のためにもどってきたっていいとこ見せたかったのに。
バツイチの出戻りに決まってるじゃないですか?もぅ!」


「そ、そっか。すまないな、気がきかなくて。」


「そこがまた千裕先輩のかわいいとこじゃないですかぁ。」


「おぃ、他の社員がいる手前、名字を言うなよ。
そうだなぁ・・・俺は水口千裕ってことで頼む。」


「水口さん?あ、そっちのお嬢さんかしら。」


「水口ひかるです。お世話になります。」


「楽しんでいってね。
あら、かわいいお嬢さんの分の予約きいてなかったから、お部屋を用意しなくちゃね。」


「やっぱりそう見えるか?
彼女、俺の婚約者だから、同じ部屋で予約したはずなんだけど。」



「ええっ!婚約したの?
でも、女子高生みたいなコじゃない。
見た目が若いのかしら?」


「そうだなぁ、やや若いかもな。
まだ未成年、19才だから。」


「やだ、先輩、もうそれって、犯罪じゃないの。
教え子に手をつけたとかいうんじゃないでしょうねぇ。」



「あ・・・」


「あら・・・。ひかるさん、困ったおっさんにひっかかってしまったのねぇ。
気をたしかに持って、がんばって生きて行くのよ。」


「は・・・はぃ。」


ひかるは千裕の高校時代の後輩である、岡村麻巳子のたくましさに圧倒されながら、別荘の中へ案内されました。



千裕と部屋に入ったひかるは、落ち着かない様子でした。

「まさか、知ってる顔に出くわすとは思わなかったなぁ。
ちょっと近くを散策でもするか?」





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