元気あげます!巴里編
夕飯時は社員たちで盛り上がっているところに、千裕とひかるは入ることになりました。

男性7人、女性3人で証券会社の研修で来たということでした。


女性3人は千裕の側にどっと集まってきたかと思うと、会社の部署や趣味などをめざとく聞きだしてくる始末でした。


ひかるはそんなことになるだろうとは思っていたので、いちばん端のコンロで肉や野菜を焼いていました。


みんながお酒が入って楽しんでいる雰囲気はひかるは苦手なので、自分の食べ物を持って隅っこのテーブルにひとり座って食べました。
すると、男性社員のひとりが食べ物を持ってひかるのところに来ました。


「お酒は苦手?低価格とはいえ、お金払うんだからさ、しっかり食った方がいいよ。
えっと・・・水口さん。名前は・・・」


「ひかるです。」


「ひかるちゃん、お兄さんはすっごいモテぶりだからつまんないよな。
このお兄さんでよかったら、ゲームでもする?」


「でも、お酒は?」


「酒は効かない。俺、酒に強すぎて、酔わないっつ~か酔えないから。
こういう席はふだん呼ばれないんだ。
俺、浜田龍一郎。龍ちゃんとでも呼んで。
卓球しよう。とりあえず・・・ね。」


「はぃっ」



バーベキューが終わって、女性たちから解放された千裕はひかるがいないことに気がついて建物内を歩きました。


休憩室のテーブルにトランプを並べて、浜田とひかるが向かい合わせに座っていました。



「恋愛は前途多難かもね・・・。すでにもう君の胸の中にモヤモヤするというかひっかかる感情が芽生えてる。」


「えっ。じゃ、この先だめなの? 私は恋愛しない方がいいのかな。」


「しないなんてわけないよ。ちゃんと恋愛はできる。
ただね、楽に恋愛するようにしないと、君はどんどん傷ついていくね。
言いたいことがスッと言える相手がベストだと思う。

言えない相手だと1つずつ困難な山を越えて行ったとしても、ぼろぼろになってしまってゴールできるかどうか・・・心配だね。」



「何でも言える人って齢が近い人とかなの?」


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