元気あげます!巴里編
ひかるが、カールがどうしてそんな質問をしたのか不思議そうな顔をしていると、ルーイがひそひそと説明してきました。


「カールはゲイなんだよ。どうやら、ヒイロさんが気にいってしまったみたいだね。」



「えっ、そ、そうだったの。ぜんぜん知らなかったわ。
カールが質問してくるのなんてはじめてだし。」



「わ、私もヒイロさんの会社名や部署はぜんぜん知らないのよ。
私の婚約者から、ヒイロさんが荷物を持って来ると連絡があっただけなので。
ごめんなさい。今度きいておくね。」



「うん・・・。」




どきどきのバザーがなんとか終了し、ひかるが帰ろうとしたときでした。

「あ、ひかる。帰る前にちょっといいかな。」


セルジュが手招きして呼んでいました。
ひかるは、また何か注意されるのではないかと、自分の行動を思い起こしましたが、セルジュの顔が怒っていないのを確認して、普通に用事だと判断しました。


「なんでしょうか?」


「明日の午後からなんだけどな、ちょっと出張につきあってくれないか?
チーフの許可はとってあるんだ。
社交界の有名マダムが集まるパーティーがすぐ近くのホテルであるんだが、そこに数名のパティシエが呼ばれて、自慢の菓子を披露するというわけだ。」


「セルジュさんも呼ばれているんですね。で・・・何を披露されるんですか?」



「それなんだが・・・ムースやババロアのようなもの主体で作る予定にしている。
これはケーキはドレスや飾りものを汚す恐れが多いからって理由なんだがな、最近はそういう気遣いもあまりしなくてもいい服が進化しているらしいけどな。

ただ、俺は女性好みの見た目っていうのが、苦手というか・・・はっきりいってよくわからんのだ。
そこで、おまえの感性で美しいとかかわいいとかいう見た目を考えてほしいんだ。」



「え、えぇぇ!そんな、私はデザイナーではありませんし、ここでは新米なんですよぉ。」


「おまえに作れとは言ってない。味には自信があるんだが、見た目の感じを考えてほしいと言っているんだ。
これから、帰ったら、マダム・コトミとか近しい女性たちにきいてもらってもかまわない。」


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