元気あげます!巴里編
「怒ってなんていませんよ。
ただ、ネコの鈴みたいだなぁって思うくらいで・・・。」
「ぷっ。うまいこと言うじゃないか。
けどな・・・ひかるにこういうことするべきじゃないって言う俺もいるのを信じてほしい。
ひかるはペットじゃないし、信じてないんじゃないかと思われても困るし。
ほんとにただ・・・」
「守ってあげたいって思うんでしょう?」
「あ。」
「最近、わかるようになったんですよ。
千裕様がそういう目をして話すときの気持ちが・・・。
「目???」
「つらそうで、悲しそうで、言いにくそうなその目です。
私に申し訳ないことをするってわかっているけれど、それより優先させなきゃいけないことがあるって感じかな。
なんか自分で言うのは、はずかしい・・・んだけど、私を大切に守りたいのかなぁ・・・。なんて。
あ、すいません!都合よく考えちゃって。」
「いや、大人になったもんだ・・・。俺の負けだな。
そうだ、そろそろひかるにも自分の経営の第一歩を踏み出してもらおうかな。」
「経営の第一歩?」
「小さくていいから一号店をまず確実に開店して繁盛させたいって言ってただろ。」
「はい。でも・・・まだ私、卒業するのにもう1年以上ありますよ。」
「準備はね、1年以上かけてやっておいた方がいい。
変更が後でいっぱい出てくることもあるからな。
で、まずは場所さがし・・・。
日本にいる間に、この町のこの場所ってところを見つけるんだ。
予算なんかについては、琴美さんと相談して都合をつけてやるから、ひかるがこの場所だと思うところを自分の足で歩いて、調べてみればいい。」
「はいっ!
あ、あのね・・・お店にはお茶やコーヒーに詳しい人がほしいし、パティシエも私だけじゃ困っちゃうと思うし・・・。」
「人事についてかぁ・・・それとなく知ってる人に当たっておくよ。
やってもいいって人物がいたら、ひかるが面接すればいい。」
「わっ、私が・・・選ぶんですか?」
「当たり前だろ。経営者なんだから。
それとも、ひかるはメイドをやる?」