元気あげます!巴里編
ひかるはヴァレリーとセルジュにもどるのが遅れることを連絡しました。

2人とも千裕のことを聞くと、言葉が止まってしまいましたが、セルジュが怪我が治っているならパリの家にもどってきてはどうかと言いました。


「気分転換になると思うんだ。
それに、こっちにいれば俺も空気のいいとことか連れていってやれるだろ。」


「ありがとう、セルジュさん・・・。」


「ひかるは勉強もしなきゃならないんだから、看護ばかりしていたらもたないよ。
案外さ、俺とひかるが仲良くしたら、怒って記憶がもどるんじゃないか?
はははは。」






ひかるは千裕にパリ行きの話をしてみました。


「お金に困らないというなら、ひかるに任せるよ。
この屋敷にずっといると、引きこもりみたいだし、何か思いだす兆候もない・・・。
場所が変わればどうか、試してみたいな。

それに、ひかるはパリで勉強しなきゃいけないんでしょう?」



「あ、私の心配はしなくてもいいから。」



「いや、体はべつに何ともないんだから、ふだんと同じように暮らしててほしい。
僕のせいで、ひかるの人生が変わってしまうようなことにはならないで。」


「そんなおおげさなことにはならないって。
でも、ほんとに日中ひとりで大丈夫かなぁ?」


「日用品の買い物するところや近所を2~3回歩けば、大丈夫だって。
それに、琴美さん?僕のおばあさんにあたる人の使用人の人もたくさんいるんでしょう?」



「うん。でも、お願いするなら最初に言っておかないと、家には誰も来ないようになってるし・・・。
そうだ、お昼には2回ほど様子だけ見てもらえるようにお願いしておきますね。」



「ありがとう。ひかるはよく気がきくんだね。
記憶はないけど、かばったことは正解だったと思えるよ。
優しくて、一生懸命で・・・きれいだ。」



「無理にほめてくれなくてもいいんですよ。
何もご褒美なんて出ませんし。うふふ」



「無理とかじゃない・・・ほんとにそう思ってるから。」



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