元気あげます!巴里編
その日ひかるは、経営学の専門学校へ行く前にいったん自宅にもどりました。
千裕のことが心配だったのと、荷物が多かったので、セルジュに車で送ってもらい、自宅に荷物を運んでもらったのでした。
そのとき、千裕が数人の女性たちと門のところまで帰ってきているのが見えて、アリサにキスされているのを目撃してしまいました。
「あっ・・・」
セルジュはひかるの気持ちを察して肩をポンとたたいて門へと向かいました。
「久しぶり。っていってもおぼえてないか・・・。
俺はおまえの恋敵のセルジュだ。
記憶なくしたら、よくモテるようになったんだな。
けどな、ひかるを泣かせたら今度こそ、寝とりに来るからなっ。」
セルジュは千裕にそう言うと、さっさと車に乗り込んで帰ってしまいました。
「おかえり~。今のコたちが職場のお友達?
さすが絵を描いてる人たちって感じね。
すごく個性的。・・・あ、ごめんね、そろそろ私、学校行って来なきゃ、遅刻しちゃうから。」
ひかるがそういって学校用のかばんを持って出ようとしたとき、千裕はかばんをはたき落してひかるを部屋の入口の床に押し倒しました。
そして、数回ひかるの唇にキスするとひかるの上衣を押し上げます。
「い、いやっ!」
ビシッ!!
咄嗟にひかるは千裕の頬をひっぱたいて泣き出しました。
「僕はずっとそうやって拒絶されてきたの?」
そう千裕がひかるにたずねると、ひかるは目をこすりながら、横に首をふって答えました。
「違うわ。ずっと抱いてくれなかったのは千裕様の方だもん・・・。」
「どういうこと?なんかわけありそうだね。」
ひかるは千裕が新婚初夜までとっておくと言った話をしました。
その話にまつわる三崎家の話も含めて琴美との約束についてもすべて話して聞かせると千裕はひかるに謝りました。