元気あげます!巴里編
「やっとわかったよ。
自分で言いだしておいて、これはないよね。
本当にごめんね。

さっきここについてきた女の子たちに、同棲してるのに何もないのは好かれてないんじゃないかとか言われて、つい・・・。

それに、さっきの人・・・彼は僕の恋敵だと言った。
恋敵が家まで来てるなんて・・・。おかしいじゃない。

ひかるはほんとに僕が好き?
命を助けられたから、仕方なくいっしょにいるとかいうんじゃ・・・。」




「そんなわけないでしょ。
セルジュさんは仕事のアテがなかったら千裕の力になりたいって言ってた人よ。
私をはさんで恋敵っていうのはそうかもしれないけど、今は千裕と同じ職場で働けたらって言ってるわ。」


「どうしてそんな・・・?」


「どうしてかしらね。私が感じるのは、ちょっと妬けるとこもあるけど、2人とも妙に信頼しあってたみたい。
セルジュさんはウソつかない誠実な人だし、よく助けてもらったから。」


「へぇ・・・。でも、ひかるに触れてほしくない。
病院で僕が助けたという女性を待っていて、初めて挨拶したひかるに僕は記憶がないまま恋をしたんだ。

理由はきっと思い出せない記憶の中に沈んでるんだと思うけど、体が健康な分、僕はだんだん心のモヤモヤが大きくなってしまって。

婚約指輪していっしょに住んでいて、手が触れて赤くなってるだけなんて、中学生でもそんなことしてないだろうって・・・。」



「あ、あのね・・・いいのよ。
千裕が苦しいなら私・・・。琴美さんとの約束だって、私が妊娠するようなことがあったら即刻帰国して、結婚式をあげること。なわけだし・・・。

私がお店の夢を少し先にのばせばいいことなんだし・・・。」



「ごめん、先に学校行ってきて。
僕はその間に考えるから・・・。
ひかるがもどったらまた話そう。
あ、僕は大丈夫だからね。 拒絶されてたんじゃなかったってわかっただけでもよかったと思ってるから。」



「うん。たたいたりしてごめんなさい。
行ってきます。」



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