あの音をもう1度
“涼太”の存在が心に引っかかる。
あの時以来、涼太と口をきくどころか顔もまともに見ていない。
同じ教室にいるはずなのに…あの日のように涼太は遠い。
『チャリティーコンサートに出ないか?』
そう言いだしたのは涼太なのに…
当の本人はここにいない。
しかも、会場はあのコンクールに復帰したのと同じ。
なんとかバルトニアさんには合格点はもらえたけど・・・
「・・・ちゃ・・・奏ちゃん!」
「あっ・・・」
ハッと気がつくと目の前にはアップのバルトニアさんの顔。