あの音をもう1度
「ここは?」
「会場内の衣裳部屋だよ。
奏ちゃん、ここで衣装に着替えておいで。
僕は、つきあたりの出演者控室にいるから」
「はい」
バルトニアさんと別れ、部屋に入り着替え始めた。
大丈夫…
ここまで頑張って練習してきたんだもん。
バルトニアさんからも合格点をもらえたんだし、きっと大丈夫。
そう自分自身に言い聞かせた強がりは、控室に着いたころには崩れ去っていた。
「奏ちゃん!」
衣装に着替え、控室にいるバルトニアさんと再会したときには
もう私は作り笑いすらできないほどの緊張と不安にかられていた。