飴色蝶 *Ⅰ*
「お前に逢えると思ったら
 嫌な事の全てを、俺は忘れる
 事ができた
   
 お前はいつも、俺の事を
 見ていた

 俺だけを・・・
   
 その視線を、鬱陶しいなどと
 邪魔に思った事は
 一度も無い」

「イオリ?」

彼女の視線を強く感じている
うちに、今度は自分が彼女

菫の存在を眼で追って
探している事に気がついた。

「お前に早く逢いたくて
 俺は急いで、あの
 カラオケ店へ向かった」

鈍感な私は、庵が何を話して
いるのか分からない

・・・

ううん、本当は分かってる。
 
だけど、そんな訳が無いよ。   
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