BABY×DOLL
翌日。
あたしは退院した。

大事をとって一日休んだのも良かったかもしれない。
体調は完璧とまでは言えないけれど、良くなっていた。

あたしの心とは真逆に何事もなかったかのように続く日常の始まり。遠藤さんが迎えに来て、仕事をし…また家に帰るだけ。

──なんにも考えないようにしよう…

あたしが自分の心を守る為には、それしかないと思った。

忘れよう
忘れるんだ

向き合ってしまったら精神が耐えられない。

だけど恋はもう出来ないだろう

人を好きになる事はないだろう



各マスコミには事務所を通して今回の入院についての説明がされていた。
あたしはその『台本』通りにウソをつくだけ。

部屋に帰った時、
案の定、ニュースを見たママから電話がきた。

…また憂鬱な日常。
イラつくママの声に耐えながらウソをついた。

ママは『心配』の言葉もかけずに言ったわ。

「無事手術が済んだのならいいわ。またお金ヨロシクね」

…愛されない子供ってこういう感じ?

やっぱり産まなくてよかった。あたしも多分…愛せなかった。

そう思って
毎日あたしは言い訳を探すようになっていた。

結局…忘れられる日が訪れる事はなかった。
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