BABY×DOLL
しばらくして、イヤな仕事が入った。

──最悪な仕事。

少し忘れていただけに最悪だ。

「遠藤さん…今日ってどうしても出なきゃダメ?体調不良とかでキャンセルできない?」

あたしは、どうしても嫌で遠藤さんにお願いした。

「無理よ。仕方ないわ。多分マスコミにはバレてないと思うけど…おかしな行動はしたくないから普通に仕事してよ」

「…うん」

あたし達の仕事は、簡単に休んだりできないし、代わりがいない仕事だから仕方ないって事もわかってる。

だけど今日の仕事は本気で嫌だった。








──あの映画が完成したの。

数ヶ月前に撮った、あたしの初めての映画。

今日は初日の舞台挨拶の日だった。
出演者達が集まる。

もちろん…


──虎之介も来る。

二度と会いたくないと思っていた彼に

この世で一番憎んでいる彼に

再会することになるの


映画の事だって忘れたかった。
あの美しく切ない思い出は一瞬にして嫌な過去へと姿を変えた…



遠藤さんに連れられ、会場へと入る。

そこにはたくさんのスタッフ。やがて監督や出演者が会場に入ってきた。

あたしは──

その中から虎之介の姿を見つけてしまった。
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