BABY×DOLL
あたしは何にも知らなかった。

映画やドラマ、マンガの中では中絶ってものがあっさりと書かれていた。

───病院に行って

──終わったら帰る。

だから手術と言っても簡単に出来るものだという認識だった。

…違うじゃない!
こんな痛みに一晩も我慢しなきゃならないの?

下半身に力が入らなくなり、あたしは車椅子で病室まで戻る事になった。

あの辺は痛みとともに違和感がある…

そのままベッドに横になり眠るしかなかった。

だけど
眠れるワケがない…

──ずっとずっと考えていた。

自分の行動に。
『中絶』と言う名で守られている殺人行為。

善か悪か?
って聞かれたら

間違いなく'悪'と呼べる。それを平気でやろうとしてる自分…


──だけど産めるわけないじゃない!

父親だっていない!

これは仕方ない行為なのよ!日本はそれが許されてるんだから!

『貴方』の為に
『貴方』の未来の為に
『貴方』を殺すのよ…



「許して…」



お腹を擦り、そう呟くしかなかった…



あたしは泣きながら朝を迎えた。

そして手術が始まる30分ほど前に、遠藤さんが来てくれた。
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