BABY×DOLL
手術中の事は、もちろん覚えていない。

ただ、されるがままに処置されていったと思う。

そこに誰かの罪の意識もなく。誰かの感情が入る事もなく。

悪夢さえも見なかった。

もっと責められていいハズだよね?
もっと苦しむべきだよね?

だけど、あたしは麻酔によって眠らされ…何の苦しみもなく

全てを終わらせた。











「…さん、中森さん、聞こえますか?」

何度も何度も、あたしを呼ぶ声に目を開けた。

一瞬…自分の今の状況がわからなかったが…看護師さん達の顔を見て、自分が何をしてしまったのか理解した。

「終わりましたよ。わかりますか?」

「…はい…」


よく見ると、あたしが寝かされていたのは病室。
腕には点滴をされていた…

「点滴が終わったらまた来ますね」

そう言って看護師が病室から出ていった。

あたしは…重い手を違和感のあるお腹に当て、さすった。

少し痛い気もする。


「…もう終わったんだ…」

──もう子供はいない

子供がお腹の中に居たって自覚もなかった。居なくなったって自覚もない。

…だけど殺しちゃったんだ…


あたしの中には
罪の意識だけが刺さって化膿していった。
< 97 / 408 >

この作品をシェア

pagetop