禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
「それじゃあ、そろそろおいとまいたします」

時計の針が七時を回ったところで、私は手早く手帳をバッグにしまいました。土屋夫人がなにかを言う前に、立ち上がります。

「あら、もうよろしいんですか」

「ええ。充分です」

というより、これ以上は無理です。

「そうだわ。よろしければクッキー、残りの分をお包みしますわ」

「いえ、そんな」

「いいですから。ちょっとお待ちくださいな」

「……」

遠慮しても、おみやげを持たせたがる人はいます。こういう時はさして嫌がらず、受け取っておくのが定石です。だって、またそのお宅を訪ねるかもしれませんから。ですが、ここに限ってはないと思いました。無理。だから、イヤだ。

けれど……拒絶するより、受け取るだけ受け取るほうがことが早くすみそうでした。とりあえず、受け取って、お礼を言って、出よう。聞きたいことは、聞けました。もっとも、ほとんど今までのウィークリー事件でわかっていたことばかりでしたが。
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