伝えたい事がある


* * *


何か物音がした気がした。その音で起きたせいで夢の中から物凄い勢いで追い出された感じがして気分が悪かった。

身体を起こして周りを見渡しても何か物が落ちた感じはなかった。


「咲陽?お姉ちゃんだけど。」


お姉ちゃんが部屋に来るなんて事は珍しかったから、寝ぼけてるのかと思った。


「咲陽?寝てるの?」


だけどどうやら現実だったみたいで"物音"はお姉ちゃんが躊躇しながらもしていたノックだと気付いた。


「入って良いよ。」


即座にあたしが言うと、ガチャとドアが開く音がしてお姉ちゃんの顔が見えた。


「…寝てた?起こしてごめんね。」


そう言って、本当に申し訳なさそうにするお姉ちゃん。姉妹なのに実の姉妹なのにここまで気を使われるのは、あたしのせい。

あたしがお姉ちゃんの事を嫌いなのを多分自覚してる。

…それが、"何でも出来るお姉ちゃん"だからと言う事も。


「いいよ。むしろ起こしてもらってよかった。…ねえ、入ったら?」


音がしてお姉ちゃんの顔は見えたものの、部屋に入って来ようとはしないお姉ちゃん。



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