堕天使の銃声
「…お前、涼の妹か?」
私の方を向いてしゃべる坂本に、私は真正面から答える。
「いいえ?
高崎 涼は、“蜃気楼”の総司令官にあたります。
この私が、そのような偉大な方の妹であるはずがありません。
私のような、穢れた人間が…」
その会話の間に、凛が出てきた。
多分、私の目を見て話していた坂本は、私の瞳の色が変わったことに気付いただろう。
凛のことも、バラそうか?
そう考えた瞬間に、坂本が驚いた表情でまた言った。
「お前、憐じゃねェだろ?」
やっぱり、気付かれた。
前にも坂本は、凛の存在に気付いていた。
しょうがないことか。
「よくわかったね。
そう、私は憐じゃない………
…凛。」
完全に、表に出てきた凛。
こうなったら、もう無傷での連行は、無理かもしれない。
「凛だァ?
さっきまでお前、自分を憐だって言ってたじゃねェか。」
「やっぱりアンタ、アホだね。
私は二人目の憐だって言ってるの。
…憐とはまったく別の人格。」
野田の言葉に、すぐに反応を示す凛。
…ま、野田がバカだから仕方ないか。
「とりあえず本部に案内するから、ついてきて?
痛い思いをしたくないなら、ね。」