堕天使の銃声


「…お前、涼の妹か?」


私の方を向いてしゃべる坂本に、私は真正面から答える。


「いいえ?

高崎 涼は、“蜃気楼”の総司令官にあたります。

この私が、そのような偉大な方の妹であるはずがありません。


私のような、穢れた人間が…」






その会話の間に、凛が出てきた。

多分、私の目を見て話していた坂本は、私の瞳の色が変わったことに気付いただろう。


凛のことも、バラそうか?




そう考えた瞬間に、坂本が驚いた表情でまた言った。


「お前、憐じゃねェだろ?」



やっぱり、気付かれた。



前にも坂本は、凛の存在に気付いていた。

しょうがないことか。





「よくわかったね。



そう、私は憐じゃない………

…凛。」







完全に、表に出てきた凛。

こうなったら、もう無傷での連行は、無理かもしれない。





「凛だァ?

さっきまでお前、自分を憐だって言ってたじゃねェか。」





「やっぱりアンタ、アホだね。


私は二人目の憐だって言ってるの。



…憐とはまったく別の人格。」





野田の言葉に、すぐに反応を示す凛。




…ま、野田がバカだから仕方ないか。






「とりあえず本部に案内するから、ついてきて?


痛い思いをしたくないなら、ね。」








< 31 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop