堕天使の銃声
グサッという、常人には聞きなれない音が、保健室内に響いた。
「ぐぁ……!!」
低い呻き声をあげて、坂本がその場にうずくまった。
その足元には、徐々に血だまりができていく。
「坂本!!」
「てめェ… 何してんだよ!!!」
坂本のわき腹を刺したのは、紛れもなく私の手に握られたナイフ。
でも、意思は凛のもの。
私はこんなこと、望んでいなかったのに…
(凛… やめて!)
「なんでやめる必要があるの?
私の言うことに、従わないこの人が悪いじゃない。
ほかの二人だってそうよ。
“私”に従わないのなら…」
そう言って小さく笑った凛は、刺された痛みのせいで、かなり顔色の悪い坂本先生に歩み寄った。
「さあ、どうするの?
死んででも私の要求を拒むか、要求を受け入れて命拾いするか…
…二つに一つよ。」