魅惑★ladyの作り方
「慧!
また結城ちゃん襲って!」
「…」
あの後、慧は海に投げ飛ばされ、今は椅子に座っている。
華楠はまたも腰が抜けたため、床で海に支えられて座っていた。
『慣れない…』
「俺も慣れるまで結構かかったからね。
慣れなくて良いんじゃない?」
「…」
やたらと華楠に触る海にどこかご立腹な慧。
華楠ははぁ、と溜め息を吐いて海に話し掛ける。
『今日も病院ですか?』
「ん?
あぁ、そうだよ。
よかったら結城ちゃんも来ない?
未来が喜ぶ。」
『あ、行きたいです。』
慧は喜ぶのはお前だろ、と心の中で悪態を吐きつつ仲の良い二人をじっと睨んでいた。
『…あ、そろそろ大丈夫です。』
「ん、どうぞ。」
海は華楠から離れスッと立ち上がり自然な動作で手を差し出す。
華楠もそれに自分の手を重ね、よろけつつ立ち上がった。
「じゃあな慧!
ドーナツ貰ってくから!」
『あっ、今日は有難うございました…!』
海は自分と華楠の鞄を片手で持ち、ドーナツの入った軽い箱を華楠に持たせ、余っている手で華楠の手を引っ張って家庭科室を後にした。
「………手、繋ぎやがった。」
慧はボソッと呟いたあと、でも俺は海より華楠の良い声聞いてる…。と密かに優越感に浸り、よしとした。