兄貴と私の恋愛事情

ドキドキと恐怖


眠い、私は非常に眠い!

重い瞼を閉じまいと必死で開けている私。

そんな私とは裏腹に譲は爆睡。


(あ、いまは入学式です!)


校長話が長すぎるっつの!
もっと簡潔にまとめて欲しいんだけど!



「次は、新入生代表、夏樹一(ナツキ ハジメ)」

「はい」



あれ?
どっかで聞いたことある声だな…。

わたしは少し考えてから新入生代表に目を移す。



「あ!」



入学式だってのに大きい声を出したうえに立ち上がり新入生代表の彼を指差す。

周りの人がわたしに注目する。


あの新入生代表の彼だって少し驚いたような顔をしている。


…恥ずかしい。


の一言に尽きる。



「の、のん?どうしたんだよ」



寝ていた筈の譲でさえ吃驚している。

だめだ…!
今ならわたし死ねる。

羞恥でもうどうにかなりそうだ。



「す、すいません…」



座るときに新入生代表の彼と目があった。



「―――っ!」



こっちを見て微笑んでいる彼。

何だろう、この心臓をギュッと鷲掴みにされた感じは。



入学式の間、ただわたしはこの気持ちを考えていた。
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