Kill Love
「よう! 何してんだ?」

「ヒッ!」

彼が気軽に声をかけた相手は―長年、我が社のデザイナーをしていた男だった。

しかし今日行われた人事異動の会議で、解雇する予定に決まった。

その理由は、ヤツの手元にあるファイルだ。

「しゃっ社長! 今日はパーティーに出席なさっていたんじゃ…」

「気が乗らなくて、途中退場」

本当は予定通り。途中で抜け出すことは、最初から決まっていたことだ。

今、この時を向かえる為に。

「にしても、デザイン画は持ち出し厳禁だろ? それともコピーでも取るのか?」

「あっああっ…!」

40近い男は、すでに最新の流行を掴めなくなっていた。

それはすなわち、売れる商品を作れなくなったのと同じ意味。

ヤツの後釜はすでに決まっている。

俺は部屋の中に入り、ヤツからデザイン画のファイルを取り上げた。

つい最近、ここに入れられた古いデザイン画だ。

このデザインのアクセサリーはもう作ってはいないが、我が社の商品であることには変わりない。

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