Kill Love
ヤツは自分の感覚が衰え始めたことに気付き、そして会社から捨てられることにも気付いた。

やがてそれはイラ立ちに変わり、デザイナーという立場を利用し、この部屋によく出入りしていた。

この部屋はデザイナーにしか与えられないカードを使わなければ、入れないのだ。

そして警備室で出入りをチェックしたところ、コイツの出入りがここ1年で1番増えていた。

過去のデザイン画を持ち出し、他社に売りつけていたのはコイツなのだ。

「デザイナーとして、プライドがないのですか? あなたは」

「ちっちがっ…。ボクはっ…!」

「見苦しい真似はやめてください。こちらはとっくに、取り引き相手のことも調べ上げているんですから」

「ウチの秘書は本当に優秀だなぁ」

ククッと笑う彼に、ファイルを渡した。

「しかしあなたには長年、会社の為に尽くしてもらいましたし、黙認というワケではありませんが、訴えることはしません」

正確にはしない。会社のダメージになるから。

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